亡くなった方から亡くなった年に受けた贈与は、贈与税?相続税?

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今回は、相続開始年に被相続人からの贈与があった場合についてお話します。

生前贈与加算制度

 既にご存知の方も多いかと思いますが、相続や遺贈(遺言によって相続財産をもらうこと)によって財産を取得した人が、亡くなった方から死亡の日前3年以内に贈与を受けた財産がある場合には、その3年以内贈与財産については、相続税の計算上、贈与時の価額にて相続財産に加算され相続税の課税対象とされます。(生前贈与加算制度といいます。)

 つまり推定相続人に対して行う相続開始前3年以内贈与は、相続税対策としての効果が薄いということになります。(ここで効果が薄いというのは、相続税計算に取り込まれるのは、贈与時の価額であるため、将来値上がりが確実なものや相続開始時までに収益を生むものを贈与すれば効果があるといえるからです。)

 

 そのため相続税対策として推定相続人以外の孫等へ贈与を行うということはよくありますが、その際には相続税の税率と贈与税の税率とを比較してから実行する必要があります。
 そもそも相続税がかからない方であれば、相続税対策を行う必要はありませんし、相続税が55%かかる方であれば、贈与税を50%支払っても贈与を行う価値は十分にあるかと思います。

 相続開始時期のコントロールは難しいですが、贈与税の税率はコントロールできるためこのまま相続が発生した場合にはどの位の税率で相続税がかかるのかを知っておくことが重要です。

 

 ではここで今回のテーマ相続開始年に被相続人からの贈与があった場合にかかる税金は、相続財産を取得している方であれば相続税、取得していない方であれば贈与税がかかるかというと…例外があります。

生前贈与加算の対象とならない制度

 前回、簡単にお話をしました20年以上連れ添った夫婦間で行うご自宅又はご自宅購入資金の贈与について2,000万円まで贈与税がかからない『おしどり贈与制度』や、子・孫等が自宅を取得するための資金を援助する贈与『住宅取得等資金贈与』等、生前贈与加算の対象とならない贈与制度があります。

 例えば、婚姻期間が20年以上である甲から乙へ2,500万円の贈与があった下記のような事例では…

  1. 平成29年1月甲が乙へ2,500万円資金贈与
  2. 平成29年3月甲が死亡
  3. 甲の相続税申告期限…平成30年1月
  4. 乙の贈与税申告期限…平成31年3月15日

 上記3.の相続税申告時に一定の事項を記載・添付し提出すれば、2,500万円のうち2,000万円は、相続税計算の対象とならず、差額の500万円のみが相続税の課税価格計算に加算されます。

 一方で、贈与税については、平成31年3月15日までに一定の要件をクリアすれば、おしどり贈与制度を利用することができ贈与税がかかりません。(今回のケースで、自宅を取得できなかった等「おしどり贈与制度」が利用できない場合には、その2,000万円は相続税ではなく贈与税の課税対象となるため注意が必要となります。)

まとめ

 相続開始年に受けた贈与

  1. 相続財産取得者…相続税申告(一定の贈与非課税制度を利用する場合には贈与税申告も必要)
  2. 相続財産取得者以外…贈与税申告

 なお今回は相続時精算課税という、贈与時には税金がかからないが、この制度を利用した後の贈与は全て相続税計算に織り込まれるという制度には触れていません。

 上記のご紹介のほか、金融機関等を通す必要がありますが教育資金や結婚子育て贈与といった生前贈与加算制度の対象とならないものもあります。税制は毎年変更がありますので、今利用できる制度を上手に活用するために専門家にご相談することをお勧めいたします。

 

 

税理士 小川裕司

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