成年後見制度と資産承継対策

Pocket

こんにちは、司法書士の小野です。

先日、半年かけた民事信託の業務が完了しました。

信託契約書には、娘さんたちのお母様への想いをたっぷり込めました。

お客様から「もやもやした私たちの思いを、立派な形にしていただいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。」との感謝の言葉を頂き、司法書士として、資産承継の専門家として、こんなに嬉しいことはないでね。

 

さて、今日は、市役所での相続相談会のお当番でしたが、2件の相談を受けました。

1件目 知的障がいの弟が田舎にいる。亡き父の相続手続きはどうしたらいいか。

2件目 高齢で独身の姉の認知症が進み施設に入った。この先、彼女の財産管理をどうしたらいいか。

答えは、2件とも、成年後見制度を利用するしか方法はない、です。これしか方法はありません。

 

1件目は、知的障がいの弟は意思表示をする事ができませんので、遺産分割協議をする事ができず、

後見人が本人に代わって遺産分割協議に参加してもらわなければなりません。

2件目は、預金の解約や不動産の売却等、財産を動かす場合には、必ずご本人の意思確認が必要です。

その時、本人に意思能力がなければ、後見人に代わってやってもらうしかありません。

 

後見制度は、認知症や知的障がい、精神障がいなど、判断能力が衰えた方を支援するための国の制度です。

その判断能力の度合いに応じて、重←「後見」「保佐」「補助」→軽の3類型に分類されます。

このように最近のご相談は、必ずといっていいほど、成年後見のお話が出ます。

成年後見人に就任すると、法務局の後見登記事項証明書に記載されますので、これが公的な証明書になります。

 

さて、具体的には、後見人に就任するとどんな仕事をしなければならないのでしょう。

1、財産調査

本人の財産を調査して、財産目録を作成します。

・銀行窓口へ出向いて預金情報を求めます。

・貸金庫の中を確認します。

・不動産がある場合は、法務局で登記事項証明書を取得します。

・保険契約の調査をします。

・債務の調査を行います。

2、年間の収支計画を立てます。

3、裁判所へ初回報告をします。

4、ここからが後見業務のスタートです。

5、日々の入出金処理をし、これを出納帳に付けます。

6、ご本人に面会して、日々の様子を確認しながら、身上監護に努めます。

7、1年に1回家庭裁判所へ報告書を提出します。

この報告書は、時には厚さ3㎝を超えるほどの物になることも多くあります。

このように、細かい事務作業能力が求められます。

そして、一度始まった後見制度は途中で辞める事はできず、本人が亡くなるまで続きます。

専門家が後見人に就いた場合には、年間数十万の報酬が毎年かかるわけです。

 

申し上げたかった事は、『認知症になってしまってから出来る事は成年後見制度しかない』という事。

冒頭に申し上げた『民事信託』や『遺言』、はたまた相続税節税のために行われる『生前贈与』や『資産組み換え』、

これらは全てもう手遅れです。

成年後見制度は素晴らしい制度ですが、積極的な財産運用、節税対策、資産承継対策は認められません。

財産をあるがまま、保存する事を求められる制度です。

【結論】

資産承継対策は、始める時期がとても重要です!

ぜひ、我々と一緒に考えましょう!

司法書士 小野紀子

 

Pocket

▲PAGETOP