法人化による相続対策(その2)
先月に続き、法人化を活用した相続対策のメリットにつき解説いたします。
法人化のメリット② ~所得の分散~
前回も書いたように、所得税は「超過累進税率」が採用されています。例えば、所得が3,000万円ある方ですと、所得税・住民税合わせた税率は50%にもなってしまいます。一方、もしその所得を5人で分けたとすると、一人当たり600万円の所得となり、この時の税率は30%となります。
このように、一人の人に所得が集中するよりも、複数の人で分けた方が全体の税率が下がります。
法人を活用することにより、この家族への所得の分散が行いやすくなります。また、本来であれば自分一人に帰属したはずの所得を、お給料等で子供たちに分散することにより、「生前贈与」以外の方法で合法的に子供たちに財産を渡すことができるため、相続税の対策としても有効となります。
法人化のメリット③ ~給与所得控除~
上記のように、家族に所得を分散する場合、通常はお給料として法人から支払うことになります。お給料として所得を得る場合、所得の計算上、「給与所得控除」を引けるのがポイントとなります。
個人事業主の場合には、売上から経費を引いたものが所得(利益)となりますが、給与所得者(サラリーマン)の場合には、個別の経費を引くのではなく、給与額に応じ、概算で給与所得控除と言う経費を引けることになっています。
例えば、お給料が600万円の場合には、174万円の控除を引くことができます。これは実際のキャッシュアウトを伴わない、概算の経費であるため、上記の所得の分散とあわせ、複数の人にお給料を支払い、複数人分この控除を受けることができると非常に得になると言えます。
来月のブログでは、引き続き、その他のメリットデメリットについても書きたいと思います。
この記事の執筆者
野上 浩二郎
神奈川県川崎市生まれ。5歳~10歳までオーストラリア・メルボルンにて過ごす。大学卒業後、相続専門の大手税理士法人での勤務、都市銀行の事業承継専門部署への出向等を経て、2012年に税理士法人アンサーズ会計事務所を設立。資産家や中小企業オーナーの多くが潜在的に抱える相続・事業承継の悩みを掘り起こし、解決するために全力を尽くしている。
・東京税理士会武蔵野支部所属(登録番号117886)
・資格の大原 実務講座 相続税法講師
書籍
・専門家のための事業承継の実務(翔泳社)
・金融マン必携!相続税実践アドバイス(東峰書房)共著・執筆責任者
・事業承継の失敗事例33(東峰書房)共著
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