相続法が改正されました

先月7月13日に、民法のうち相続法の一部が改正されました。
じっさいにスタートするのは、まだ少し先(おそらく2020年)になります。
遺言に関することなど注目すべき改正点がいくつかありますが、今回新たに創設された「配偶者居住権」もそのひとつです。

配偶者居住権とは「配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、遺産分割終了後にも配偶者にその建物を認めることを内容とする法定の権利」です。高齢化社会の進展など社会環境の変化に伴い、高齢配偶者の他方配偶者死亡による居住の保護の必要性が高まったことから創設されたのだと考えられます。

例えば・・・
二人で自宅で生活をしていたご夫婦。90歳の夫が死亡し、87歳の妻が残されたという場合に、遺産分割協議の結果によっては、高齢になった妻が自宅を失う恐れがあります。話し合いがまとまらずに、やむなく自宅を売却してお金に換え、相続人で分けるしかない場合もあるでしょう。自宅を失った87歳の妻がその後新たな生活拠点を見つけることは、そう簡単ではありません。

このような事態の解決方法として、「配偶者居住権」が今後は選択肢のひとつとなると思われます。

改正法がスタートした後は、遺産分割協議や遺言において、自宅に関する権利を「所有権」と「居住権」に分けて検討することができるようになります。これは権利としてだけでなく、資産価値的にも分けて考えます。例えば、3000万円の価値のある自宅を①所有権2000万円②居住権1000万円というイメージです。

従来は「自宅(の所有権)は○○が相続する」だけでしたが、今後は「自宅(の所有権)は○○が相続し、妻は居住権を相続する」という選択肢も出てきます。 その結果、自宅(の所有権)は他の相続人が相続しても、妻は終身又は一定期間そのまま自宅に無償で住み続けることも可能になります。

また、配偶者居住権自体を相続できなくても、少なくとも6ヶ月間は今まで暮らしていた自宅に住み続けられる権利(配偶者短期居住権)も今回認められるようになりました。新しい生活拠点を見つける時間が少しは確保できます。

法律が変われば、相続問題を解決する上で取るべき選択肢も変わってきます。
改正の内容も踏まえたアドバイスを専門家から受けることで、相続問題の新たな解決の糸口が見つかるかもしれません。

司法書士 中田佐保子

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