孫に遺産を相続させる方法
遺産を誰に遺そうかと考えたときに、お孫さんのことを思われる方も多いでしょう。
そもそも、お孫さんに遺産を残すことができるの?
遺言書など何も用意をしていなかった場合は法定相続人だけが遺産を相続することができ、
誰が法定相続人になるかは、家族構成によって第1順位から第3順位まで順番が決まっています。
なにも用意をしていない場合で、お孫さんが法定相続人になるケースは、(1)の代襲相続の場合のみです。
お孫さんに相続をする場合は、5つある方法の中でどの方法でお孫さんに残すかによって
税金が変わってきます。
常に法定相続人: 配偶者
第1順位: 子
第2順位: 被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)
第3順位: 被相続人の兄弟姉妹
孫は、法定相続人の中に入っておらず、法律上では相続人にはなれません。
ただしいくつかの条件をクリアすると相続を行うことができます。
ただし、相続税が2割加算される場合があるので、注意が必要です。
(1)代襲相続で、孫が相続人になる
孫は、法律上、相続人になれません。しかし、被相続人の子がすでに亡くなっていた場合、代襲相続により孫は第1順位の法定相続人になります。
孫が「代襲相続人」となり遺産を受取る場合は、相続税の2割加算はありません。
(2)養子縁組をして、法律上の親子になる
孫を自分の子として養子縁組をすることができます。
遺産相続対策として孫を養子縁組する場合、「普通養子縁組」の形をとることが一般的です。
民法上は何人でも養子を増やすことが可能ですが、
税法上実子がいる場合は1人まで実子がいない場合は2名までと決められています。
祖父母の子(実子)が健在で孫を養子にする場合、養子は実子と同等の相続権があるので、
祖父母が亡くなった時に孫は財産を受け取ることができます。
この時、養子である孫が受取る財産については、相続税が2割加算されます。
こちらの養子縁組制度は、ほかの兄弟への配慮などもしたうえで相当慎重に進める必要があります。
(3)遺言書を書く(「遺贈」(遺言による贈与))
養子縁組をしなくても孫が相続財産を受け取れる方法としては、遺言書を書いて孫を指名する方法があります、これを遺贈といいます。
遺言書を作成する場合、法定相続人の遺留分を侵害すると、遺留分を侵害された相続人から孫に「遺留分減殺請求」されることもありえます。
遺言書を作成する際に遺留分を配慮して作成する必要があります。
「遺贈」により孫が財産を取得した場合、原則として相続税の2割加算が行われます。
(4)生前贈与で孫に渡す
財産を孫に渡すという意味では、生前贈与もあげられます。
祖父母が生きている間に孫に財産をあげてしまうものですが、毎年110万円までは贈与税がかかりません。
また、相続人への生前贈与は「相続開始の日から遡って3年前までに受けた贈与は、相続財産に加算する」のですが、
孫への生前贈与には、相続開始前3年以内の贈与加算が適用されません。贈与してからすぐに亡くなった場合でも相続税はかかりません。
また、税金でいうと住宅資金であれば1200万円(平成31年時点)、教育資金なら最高で1500万円非課税の制度があります。
(5)生命保険の受取人に孫を指定する
孫に財産を遺す手段として、生命保険の受取人に孫を指定することも選択肢の一つです。
ただし、死亡保険金受取時に、孫が「遺贈」という形で受取る時は、相続税が2割加算されますので注意が必要です。
死亡保険金は相続財産ではありませんが、みなし相続(「遺贈」)となるためです。
さらに、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が認められません。よって全額が課税対象になります。
また、孫が死亡保険金の受取人になっていて「遺贈」により財産を取得すると、
(4)では適用されなかった「相続開始前3年以内の贈与加算」が適用され、
生前贈与の分も相続財産に加算され、相続税の対象になってしまいます。
3.まとめ
孫に財産を遺す5つの方法をご紹介しました。どの方法がいいのか?は当然ケースバイケースとなります。
思い込みなどで相続対策をするのではなく分からないことがあれば、専門家にご相談ください。
専門家に相談することで、それぞれの家庭の状況に応じた対策方法が見つかると思います。
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