非上場株式の評価方法

先月のブログでは非上場株式等の相続における問題点について書きました。

今回は、非上場株式等の評価方法について書きたいと思います。

 

非上場株式等の評価方法

 

相続税の申告をする際、お亡くなりになった方の財産はその時点の「時価」で評価をし、税金を計算します。

株式市場に上場している株式であれば取引の相場が存在するため、時価を算定することは簡単ですが、非上場会社の株式の場合には、客観的に確認できる株価というものが存在しません。

そのため、相続税(贈与税)を計算する際には、非上場株式を下記の様な方法により評価をすることになっています。

 

類似業種比準価額

 

類似する業種の上場会社の株価と比準させて自社の株価を算定する方法です。

例えば自分の会社が金属製品の製造業であれば、上場している金属製品製造業の会社の株価と比較し、自社がどれくらいの配当を出しているか、どれくらい利益が出ているか、どれくらいの純資産があるか、という3つのポイントを基に、株価を算定することとなります。

類似業種の株価は、国税庁のHPにて公表されています。

自社が同業他社に比べ高配当だったり、高収益が多かったり、純資産が多かったりする場合には株価は高くなります。

また、そもそも、その業界自体の景気が良い場合には株価が高くなることとなります。

 

 

純資産価額

 

自社の純資産(資産-負債)がいくらかによって株価を算定する方法です。

この時、会社の資産負債は帳簿価額で見るのではなく、評価時点の相続税評価額に評価替えをして計算を行います。

会社が所有している、昔購入した土地が高騰していて多額の含み益がある場合などは、帳簿上はそれほど純資産があるように見えなくても、相続税評価上は高い評価額となるケースもあります。

逆に、含み損のある資産を抱えている場合には評価上の純資産は低く抑えられます。

 

配当還元価額

 

自社の株式からいくらの配当を受けられるかによって株価を算定する方法です。

配当が多ければ株価は高くなりますし、配当が少ない、もしくは無配当の場合には株価は低くなります。

 

 来月のブログでは、これらの評価方法の使い分けについて書きたいと思います。
 

 

この記事の執筆者

野上 浩二郎

神奈川県川崎市生まれ。5歳~10歳までオーストラリア・メルボルンにて過ごす。大学卒業後、相続専門の大手税理士法人での勤務、都市銀行の事業承継専門部署への出向等を経て、2012年に税理士法人アンサーズ会計事務所を設立。資産家や中小企業オーナーの多くが潜在的に抱える相続・事業承継の悩みを掘り起こし、解決するために全力を尽くしている。

・東京税理士会武蔵野支部所属(登録番号117886)
・資格の大原 実務講座 相続税法講師

書籍
専門家のための事業承継の実務(翔泳社)
・金融マン必携!相続税実践アドバイス(東峰書房)共著・執筆責任者
・事業承継の失敗事例33(東峰書房)共著

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