相続が開始したら、まずは法定相続情報証明制度を検討しよう!
法定相続情報証明の制度とは?
法定相続情報証明制度をご存知でしょうか?
法定相続情報証明制度とは、簡単にいうと、亡くなった方(被相続人)の相続に関係する戸除籍謄本等の束とその相続関係者(法定相続人)を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を法務局に提出し、その提出した法定相続情報一覧図の写しに、登記官が認証文を付けて、交付してくれる制度です。交付にかかる手数料は無料です。
平成29年5月に法定相続情報証明制度が開始してから、すでに2年以上が経過しましたが、法定相続情報一覧図の写しは、相続手続を行う上で大変便利なものとなっています。
戸除籍謄本等の代用としての、法定相続情報一覧図の写し
通常、被相続人についての相続関係を証明しようとする場合、各市町村役場で取得する戸除籍謄本等は少なくても4~5通、多いと10通以上になることも珍しくはありません。また、各種の相続手続に使用するために、何通も同じ戸除籍謄本等を取得することもありました。
しかし、法定相続情報証明制度の開始により、一度被相続人についての一連の戸除籍謄本等を取得し、法定相続情報一覧図とともに法務局に提出して、法定相続情報一覧図の写しを交付してもらうことで、その後の各種の相続手続には、この法定相続情報一覧図の写しが戸除籍謄本等に代わって、被相続人の相続についての証明書としての役割を果たしてくれます。
しかも、法定相続情報一覧図の申出をした人は、法務局で申出をしてから、5年間は何度でも、何通でも法定相続情報一覧図の写しの再交付を受けることができます。もう何通も同じ戸除籍謄本等を取得する必要はありません。
相続にかかる時間を大幅に短縮
ただ何と言っても、法定相続情報証明制度の一番のメリットは、各種の相続手続にかかる時間の大幅な短縮です。
たとえば、法務局で相続による不動産の名義変更登記をしても、銀行等の金融機関で相続による預貯金の名義変更をする場合は、法務局で確認済のはずである戸除籍謄本であっても、改めて銀行等の担当部署は相続内容の確認が必要です。
しかし、相続についての証明書を求められる際に、法定相続情報一覧図の写しを提出できれば、改めて戸除籍謄本等の提出を求められることはありません。法定相続情報一覧図の写しには、法務局の認証文が付されます。これは法務局が被相続人の相続関係を確認したという証です。
また、法定相続情報一覧図の写しは、被相続人の法定相続人を図にした非常にシンプルな書面です。法定相続情報一覧図の写しの提出により、その後の相続手続で改めて戸除籍謄本等の束を確認するという二度手間が省かれることになり、各種の相続手続にかかる時間が大幅に短縮されることになります。
法定相続情報一覧図の写しの利用は拡大しています
この制度の開始当時は、法定相続情報一覧図の写しを使用できる場面は、法務局と一部の銀行等に限られていました。
しかし今では、法定相続情報一覧図の写しが利用できる場面はどんどん拡大されています。平成30年4月1日以降は、税務申告にも使えるようになり、たとえば、現状、以下の手続は法定相続情報一覧図の写しが、戸除籍謄本の代わりに利用可能です。
- 法務局での各種登記申請手続(不動産登記・商業登記ともに)
- 相続税申告(※1)
- 銀行や証券会社などの各種の金融機関での相続手続(※2)
- 保険会社への保険金の請求(※2)
※1 一定の形式を求められます。
※2 各社対応については念のためご確認下さい。
難しそうなら司法書士や税理士等の専門家の相談しよう
このように、法定相続情報一覧図の写しは、とても便利で使えるものです。相続が開始したら、まずは法定相続情報一覧図の写しを取得することから始めてはいかがでしょうか。
ご自身で法務局への申出が難しい方は、司法書士、弁護士、税理士、社会保険労務士及び行政書士など各種士業にご依頼が可能です。
この記事を書いた専門家について
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横浜市出身。平成17年に司法書士試験合格。千代田区及び横浜市内の司法書士事務所勤務を経て、目黒区で独立開業。都内及び神奈川県内の顧客を中心に、相続・遺産整理・成年後見・民事信託等の業務を行う。
また、会社経営に関するコンサルティング業務を行っている。2018年より(公財)大田区産業振興協会ビジネスサポーター。
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