『包括遺贈』と『特定遺贈』とは

税理士の相原と申します。

最近、新型コロナ感染拡大の影響で先行きに不安を抱える方から相続対策の一貫として遺言書作成のご相談を多く受けます。その中でも、相続人以外の方(お世話になった方)へ財産を遺すための遺言書作成のご相談が増えつつあります。

遺言書は、遺贈者(遺言により財産を与える人)の一方的意思表示により財産を承継することができ、かつ、相続人以外の方へ財産を遺すことができるため、相続人以外の方へ財産を遺したいと考えている方は早めに遺言書の検討をしてください。

今回は、遺言書の作成方法における『包括遺贈』と『特定遺贈』の記載方法の違いについて触れてみようと思います。

※遺言書により、法人に遺贈することができますが本記事においては個人を前提に記載します。

『包括遺贈』、『特定遺贈』とは?

冒頭でも触れましたが、遺贈は遺言により相続人だけでなく相続人以外の人に対しても財産を遺すことができます。遺産分割協議書だけでは相続人以外の人に財産を遺すことができないため、相続人以外の人へ財産を遺したい場合には、遺言書の作成はとても大切になってきます。

そして、遺贈には大きく分けて『包括遺贈』と『特定遺贈』という2種類が存在します。

包括遺贈とは、「相続財産の2分の1を〇〇に遺贈する。」と財産の全部又は一定の割合を包括的に指定した人に遺贈することをいいます。この場合、包括受遺者(受遺者とは遺言によって財産を贈られる人)は実質的には相続人と同一の権利義務を負うことになるため、遺贈者に借金などのマイナス財産があれば、遺贈された割合に従ったマイナスの財産も引き受けなければなりません。そのため、包括受遺者にとってはあまり嬉しくない遺贈の場合もあります。

いっぽう、特定遺贈とは、「B土地をCに遺贈する。」と財産を具体的に特定して、指定した方に遺贈することをいいます。この場合、受遺者はその特定された財産を取得することができますが、それ以外の財産を取得することはできず、また、債務を指定されない限り遺言にない債務を負担することもありません。

具体的に包括遺贈と特定遺贈の大きな違いは以下の通りとなります。

     包括遺贈 特定遺贈
遺贈財産 一定割合の財産
※財産内容に変更があっても大丈夫
特定の財産
※財産内容に変更があった場合に対応できない
遺産分割
協議
包括受遺者は遺産分割協議に参加して遺産分割をする必要がある しない
相続債務 負担する 遺言書で指定されない限り負担しない
放棄 ・家庭裁判所に放棄の申述が必要
・相続の開始があったことを知った時から3か月以内
・遺贈者の死亡後に相続人等の遺贈義務者に放棄の意思表示をする
・期限はなし
不動産
取得税
非課税 相続人は非課税
相続人以外は課税

『包括遺贈』が良いケースと『特定遺贈』が良いケース

遺言書を作成するにあたり、『包括遺贈』を選択すべきか『特定遺贈』を選択すべきかの判断は、まず遺言者の借入金等のマイナスの財産の状況や包括受遺者と相続人の関係が判断材料になります。

包括受遺者に財産を遺したいが借入金等がある場合や、包括受遺者に一定割合の財産を与える旨を記載したが、遺産分割協議になったときに相続人から部外者扱いされていやな思いをするケースはよくあります。

そのほか一般的に包括遺贈がよいケースと特定遺贈がよいケースを列挙してみました。

①包括遺贈がよいケース

  • 財産内容を把握していない場合
  • 将来財産内容が変わることが確実な場合
  • 具体的な分割内容は相続人(包括受遺者含む)同士で決めてもらいたい場合

②特定遺贈がよいケース

  • どの財産を誰に与えるか具体的に決めたい場合
  • 受遺者に借入金等を負担させたくない場合
  • 包括受遺者が遺産分割に参加・協議するときに相続人と揉めそうな場合

まとめ

実務では、相続発生後に遺言書の内容を確認すると特定遺贈なのか包括遺贈なのか判断に迷うケースはよくあります。特定遺贈か包括遺贈かにより受遺者の受け取る財産内容及び相続税の計算が異なる場合がありますので、遺言書の書き方に悩む場合は早めに相続に詳しい専門家にご相談ください。

また、包括遺贈、特定遺贈に限ったことではありませんが、遺言書を書くことは基本的に遺留分の問題がつきまといます。せっかく遺言書を作成したのに、遺贈者の意思に反して争いになるケースもよくありますので、『相続』が『争族』にならないように早めに相続に詳しい専門家にご相談ください。

(税理士 相原仲一郎)

この記事を書いた専門家について

相原仲一郎
相原仲一郎税理士
東京都練馬区出身。税理士・相続診断士・事業承継スペシャリスト・CFP資格保有。
大手税理士法人にて、生前対策のコンサルティング業務から相続申告業務まで幅広く携わる。
2017年1月に独立。現在は相続・事業承継特化した税理士として活動中。

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