備えあれば憂いなし

今年を振り返って一番大きな出来事と言えば、やはり新型コロナウイルスの大感染でしょう。年の初めにはまだそれほど注目されていませんでしたが、2月・3月にはあれやあれやと言う間に感染拡大していきました。現在も感染者数は過去最大を更新しており、ウイルスの変異種も出てきて益々拡大していく勢いです。

新型ウイルスによるパンデミックスについては今まで色々指摘されており、対策の重要性が言われていましたが、いざ感染が拡大していくと何も対策がされていないことがはっきりしました。それがここまで社会生活・経済・医療を逼迫させている原因でしょう。備えがもう少しして有ればと悔やまれます。

2011年の東日本大震災の時も、政府の地震調査研究推進本部が発表した「地震発生可能性の長期評価」に基づいて津波対策をした東海第二原発は事故を免れましたが、津波対策をしなかった福島原発は過酷事故・大惨事となりました。近々発生すると言われている首都直下地震に対しても、どれだけ備えがしてあるのか心配です。

相続も備えが大切です。特に現在は新型コロナで急に亡くなる人や、医療が逼迫して治療が遅れ亡くなる人が増えていて、備えが出来ない人が多くなっていると思われます。

備えがないまま人が亡くなると遺された人が大変困ります。亡くなった人にどのような財産が有るのか探すのが先ず大変です。プラスの財産ならまだしも、借金が有ったり保証人になっていたりしたら取り返しがつかない場合が有ります。最近はネットによる取引も増えているので、これも財産を分かりづらくしています。

取りあえず、自分の財産を一覧表にして整理しておきましょう。

次に、遺産をどのようにするか考えておきましょう。子供が親と同居していたり、子供が親と一緒に事業や商売をしている、内縁関係のパートナーがいる等は特に対策が必要です。

相続財産が殆ど不動産の場合は、分割しやすいようにしておくこと、不動産を相続した相続人が他の相続人に代償金を払えるように生命保険に入っておくこと、納税資金を確保出来るよう不動産を整理して保有するものと処分して換金するものを区別しておくこと、すぐ売却できるよう土地の境界を確定しておくこと等の対策があります。

今すぐ出来る備えとしては、遺言を書くことが有ります。遺言と遺言に付属して書いておく付言によって、相続争いが防止できる可能性が高くなります。財産がそれほど無い人も、家族に対する自分の思いを遺言に書きましょう。お正月は遺言を書く良い機会です。

相続法が改正になり、遺言が遺留分を侵害していた場合、遺留分を侵害した相続人は侵害された相続人に金銭を支払う事になりました。遺留分を侵害した遺言を書く場合は、このお金の事も考えておく必要が有ります。

相続税が発生しそうな人は事前に概算を計算してもらい、どこから納税資金を捻出するか考えておいた方が良いでしょう。相続税の申告・納税期限は相続発生から10ヶ月以内なので、アッと言う間に来てしまいます。特に不動産を売却したり農地を売却して納税資金を準備する人は、期限ギリギリになる可能性が高いので準備しておくことが必要です。

財産が割とある人は生前贈与や生命保険による財産移転、家族信託なども検討する価値が有ります。

相続に対する備えをしておけば、相続人は大変な思いをせずに済み、相続人同士が争うことも防げます。幸せな相続を実現するには備えが大切です。

「備えあれば憂いなし」という言葉や、「段取り8割・本番2割」という言葉も有ります。ぜひ相続についても備えをしておきましょう。分からないことについては、相続の専門家に相談してみてください。

 

 

この記事を書いた専門家について

吉野 喜博
吉野 喜博相続アドバイザー・不動産コンサルタント
広島県広島市生まれ。
建築の計画・設計・監理、不動産の企画・開発・販売、土地の仕入れ等の業務を経験の後、相続の道へ。
所沢市にて相続勉強会&相談会を毎月開催中。各所で相続セミナーの講師、及び相続相談会の相談員を担当。

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