テレビドラマ「遺産争族」その2 児山

 ドラマの「遺産争族」、12月17日が最終回で終了しました。視聴率は、全9話の平均が10.77%。同期のドラマ13本の中では、4位でしたが、まずまずというところでした。

 さて、ドラマの中で「カワムラメモリアル」の会長、河村龍太郎が「危急時遺言」という遺言を行います。この遺言の仕方について、今回は取り上げてみたいと思います。

 一般的に遺言の仕方は自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3通りがあるということを勉強します。ただ、民法には、これ以外に特別方式の遺言というものが4つ定められています。そのうち、今回ドラマで出てきたのは「一般の危急時遺言」という遺言の仕方です。
 「一般の危急時遺言」とは、疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が行う遺言のことであり、ドラマでも解説がありましたが、以下のような流れで行う必要があります。

1.公正な第三者の証人に3人以上立ち会ってもらう
      ↓
2.遺言者が遺言内容を口述する
      ↓
3.証人が口述内容を筆記する
      ↓
4.筆記した内容を遺言者及び他の証人に読み聞かせるか、閲覧させ、確認させる
      ↓
5.証人が全員署名、捺印する
      ↓
6.遺言から20日以内に証人の1人、または利害関係者が家庭裁判所に確認を請求する
      ↓
7.家庭裁判所に遺言者の真意によるものかを確認してもらう

 この遺言については、いくつか注意点があります。
 まず、通常の遺言ができるようになって6カ月経つと、無効になってしまいます。あくまで臨時のための遺言ということです。
 次に、裁判所に有効なものと判断してもらうための資料を残すことが必要です。そのために、医師に立ち会ってもらったり、ビデオを録画しておく等の工夫が必要です。

特別方式の遺言を学校で習うと、少し触れるだけであまり印象に残っていなかったのですが、明治時代民法を作った頃の日本では、この遺言の仕方が大部分だったそうです。要するに、臨終間際に、親族が集まっていて「自分が死んだ後はこうしてくれ」と遺言を残す、これが通常の形だったわけです。
ただ、当時の立法者たちは、その形では正しい遺言を裁判所で判断できないと考え、書類ベースの遺言を原則としました。そして、この口述式の遺言を特別の方式として残したのです。遺言を文書で残すだけではなく、親族への言葉を口頭で伝えることにより、争いの種を摘む場合もあると聞きますので、危急時の遺言をもう少し見直しても良いかもしれません。
なお、ドラマの解説では「親族は立ち会えない」とありましたが、この条項の立法経緯から見ると、臨終間際の場面が想定されていますので、親族も遺言の場に同席することは可能と思われます。もっとも、ドラマでは、異論が出て収拾がつかなくなるので、親族を立ち会わせなかったのは適切な処置と言えそうですが・・・

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