平成29年度税制改正①(タワーマンション課税の見直し) 野上
「平成29年度税制改正大綱」が平成28年12月8日に公表され、平成28年12月22日に閣議決定されました。
固定資産税・都市計画税の改正点として、「居住用超高層建築物に係る課税の見直し」が挙げられています。
「居住用超高層建築物」とは、いわゆる「タワーマンション」のことで、タワーマンションに係る固定資産税等の課税の見直しをしましょうという内容になっています。
改正前においては、マンションでは、所有する床面積に応じて固定資産税等が課税されていて、階層の高さは課税に影響していません。
つまり、1階でも、20階でも、50階でも、床面積が同じであれば同じ税額が課税されています。
一方、売買される際の市場価格としては、一般的に、低層階と高層階では価格が大きく異なります。
1階と最上階では倍以上価格が違うようなケースもあるでしょう。
これまでの固定資産税の課税上は、価格が倍違っても、固定資産税の額は同じ、となっており、市場価格と固定資産税価格とに大きな差額が生じてしまっていました。
今回の改正案では、高さ60mを超えるタワーマンションにつき、固定資産税の額を1つ階が上がるごとに約0.256%ずつ増額していくということになっています。
40階であれば、1階に比べ10%の増額ということになります。
市場価格に比べると、低層階と高層階でそれほど大きい差を設けているようには感じませんが、固定資産税が毎年かかることを考えると、高層階を購入される方にとってはそれなりの負担増となり、これまでよりは低層階と高層階の間の不公平さが是正されることとなる見込みです。
相続税を計算する際、建物は固定資産税評価額で評価されるため、これまでは市場価格と固定資産税価格との乖離を利用し、富裕層が節税策としてタワーマンションを購入する、ということがしばしば行われてきました。
今回の改正により、これまでよりはタワーマンションを購入することによる税務メリットが減少することとなるため、この改正は今後の相続税対策にも影響してくることとなります。
この改正は、平成30年度から新たに課税されることとなるタワーマンション(平成29年4月1日前に売買契約が締結されたものは除く)につき適用されることとされているため、タワーマンションを活用した節税を考える際には、中古マンションを活用するニーズが高まってくることが予想されます。
税制は毎年改正されています。
これでばっちり、と思った対策が、その後の税制改正により無効となってしまうことも残念ながら良くありますので、相続対策を行う上では、専門家のサポートを受けながら、常に最新の税務情報を取り入れた対策を進められることをお勧めいたします。
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