~民事信託の活用事例~①認知症対策信託

こんにちは、司法書士・家族信託専門士の小野です。
前回の投稿(3月22日)で新しい財産管理の方法、「民事信託の仕組み」についてお話しました。

民事信託を使えば、生前から財産管理を他人に任せることができます。
遺言のように本人が死亡したときから効力を発するものではなく、民事信託をしたその日から財産管理を信頼すべき人に任せることができるのです。
しかも、この効果は本人が認知症やお亡くなりになった後も継続します。

では、具体的に民事信託はどのような場面で使えるのでしょうか?
今回は、「民事信託を活用した事例」をご紹介したいと思います。
 

 

認知症対策信託

 
 我が国は世界的な長寿国家であるため、その半面、認知症になってしまう人が年々増えてきています。その結果、多額の財産を持った状態のままで認知症になり、その後の財産管理に苦慮するというケースが多く見られます。
既存の認知症対策として、成年後見制度がありますが、裁判所の管理下での財産管理になるため、生前贈与や税務対策等は許されず、いわば財産を現状維持することしか許されないことになっており、結果として財産は凍結状態となったままで相続の日を迎えることになります。
そこで、民事信託を利用することにより、今までと同じように財産を管理・活用する事ができるよう、認知症対策としての提案をしています。
 

相談内容

 
 【相談者】
  太郎さん(50歳)都内在住
 【相談内容】
  太郎さんの父(75歳)は、体はとても元気であるが、年々物忘れがひどくなり、近い将来、認知症を発症するのではないかと心配している。母(74歳)も健在であるが、同じような状態である。
父は、投資用不動産を多数所有しており、その収益を母との生活費に充てている。賃貸管理は、不動産管理会社に任せて行ってきたが、そろそろ大規模修繕や相続税対策としての売却なども検討しなければならない。しかし、高齢の父にはそれを考えるのが億劫に感じられるようになってきたので、面倒なことは太郎に任せたいと言っている。
 太郎さんとしても、この先、父が認知症を発生したとしても、父と母が何も困ることなく生活でき、父の希望を反映させたスムーズな財産管理をしていきたいと考えている。

 

民事信託スキーム

 
父と太郎さんの間で信託契約を締結します。

(当事者)
 委託者→財産管理能力が乏しい父
 受託者→太郎
 受益者→父及び母

(信託財産)
 賃貸アパートとその不動産管理に必要な金銭

 

民事信託を利用するメリット

 
太郎さんは、父の心身の状態に関係なく、父の財産管理を行う事が可能になります。

 ・新規入居者との契約
 ・更新契約書へのサイン
 ・リフォームや補修工事の発注書へのサイン
 ・家賃滞納の場合の訴訟活動
 ・相続税納税のための売却活動

これらが太郎一人で可能になります。

また、既に借入がある場合は、信託にあたり金融機関との調整が必要になりますが、

・金利変更等の契約変更業務
・大規模修繕等で新たな資金が必要な場合は、新たな借り入れ(信託内借入)

これらも一郎によって可能となるわけです。※債務控除については、国税庁要確認。

そして、信託口座に毎月入る家賃収入は、父と母の生活費として、受託者太郎からお2人に渡すことが可能になるわけです。

このように、信託した財産は、所有者の認知症により凍結されず、受託者の判断により、柔軟な管理・運用が可能になるわけです。

司法書士・家族信託専門士 小野紀子

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