未支給年金と相続について

老齢期になると国から支給される公的年金、現在は原則として65歳になると受給権が発生します。多くの方はその年齢になると仕事からリタイアされ、それ以降は、これまで蓄えてきた財産と公的年金が生活の糧となります。

相続時には必ず発生する未支給年金

公的年金は、偶数月の15日にその前2か月分が後払い、というのが支払ルールであることはご存知だと思います。後払いであることから、相続発生時には必ず未支給年金が発生する仕組みになっています。では、この被相続人への未支給年金の受給権は、いったい誰に帰属するのでしょうか。相続財産との関係はどうなるのでしょうか。

未支給年金は相続財産にあらず

もし未支給年金が相続財産であるなら、相続発生に伴い未支給年金は相続人の共有財産となり、遺産分割の手続きを経て初めて相続人の固有財産となりますが、この点については、国民年金法に次のとおり規定されています。

国民年金法19条第1項

年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。

つまり、未支給年金は死亡の当時被相続人と生計を一にしていた者に対し(優先順位に従って)支給する、とされているのです。未支給年金は相続財産ではなく、その遺族の固有財産であることがわかります。

最高裁平成7年11月7日判決

このことは、最高裁平成7年11月7日判決においても「国民年金法19条の規定は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものでないことは明らかである。」として、未支給年金が相続財産であることを否定しています。

未支給年金の受給順位と時効消滅

未支給年金の受給順位を確認しておきます。次の順位により、死亡時に相続人と生計を一にしている遺族に受給権があります。
1.配偶者
2.子
3.父母
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹
7.その他三親等以内の親族

なお、年金の受給権は5年で時効消滅することが定められています。未支給年金に関しても、その支払時期から5年を経過してしまうと受給権が時効消滅してしまいますので、くれぐれもご注意ください。また、死亡の当時に被相続人と生計を一にしていたことが受給要件となっていますが、この点に関しては国税庁HPには次のとおり定義されています。

生計を一にする

日常の生活の資を共にすることをいいます。会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

 

この記事を書いた専門家について

西野史朗
西野史朗社会保険労務士・行政書士
大学卒業後、全国紙新聞社での約30年の勤務を経て、2019年に社労士、行政書士事務所を開設。自損交通事故で重傷を負い、懸命のリハビリでようやく社会復帰した経験があるが、復帰できたのは多くの方に支えられたからこそと感謝している。復帰後は、感謝の気持ちを社会貢献でお返ししたいと考えるようになった。特に障害者サポートに力を入れている。

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