知っておきたい遺族年金のはなし 〜遺族年金の基礎知識〜

一家の働き手が亡くなった後の生活は…

一家の働き手が亡くなった後、残された遺族の生活を支援するための公的年金として遺族年金があります。遺族年金は、年金の被保険者あるいは被保険者であった方が亡くなったときに、その方に生計を維持されていた一定の遺族が受けることができる年金です。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があるのですが、その違いはあまり知られていません。遺族年金は、ご自身の家族にもしものことが起こった後、生活を維持するための重要な収入であるにも関わらず、普段意識することがほとんどありません。支給される年金の種別や金額などを知る事で、対する備えも変わってきます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金

いざ、一家の働き手が亡くなった後、残された遺族には遺族年金が支給されるのか?それはその後の生活設計においてとても切実な問題です。遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」がありますが、受給できる場合でもそれが「遺族基礎年金」なのか、「遺族厚生年金」なのか、それともその両方を受けることができるのか、知っていますか?

遺族年金を受給するための要件には細かい取り決めがありますが、まずは亡くなった方の年金加入記録(国民年金、厚生年金)を確認することによって、大まかな判定をすることが可能です。
①故人が国民年金加入者であった場合、要件を満たすと「遺族基礎年金」を受給することができます。
②故人が厚生年金加入者であった場合、要件を満たすと「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受給することができます。

厚生年金の加入者は、同時に国民年金2号被保険者でもあります。従って厚生年金の加入者の場合、要件を満たせば「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の両方を受給することもできますが、国民年金加入者が「遺族厚生年金」を受給することはありません。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い

受給権者の違い

まず、両者の最大の相違点である受給対象者を比較します。

遺族基礎年金 遺族厚生年金
受給対象者 死亡した者に生計を維持されていた以下の者
①子のある配偶者または子
死亡した者に生計を維持されていた以下の者<受給資格の優先順位>
①配偶者・子
②父母
③孫
④祖父母

※遺族基礎年金、遺族厚生年金に共通する子の要件
「子」 = 18歳到達年度末(3月31日)までにある子、または障害等級1級または2級にある20歳未満の子(20歳到達年度末ではありません)

上図の通り、遺族基礎年金は「子」がある場合でなければ支給されることがありません。このため「子育て年金」とも言われており、子のいない配偶者や、既に成人した子がある配偶者に遺族基礎年金が支給されることはありません。
一方で遺族厚生年金は「子」があることが要件ではありませんので、上手の優先順にに従って一定の遺族であれば受給することができます。

配偶者の違い

配偶者であれば、基本的に遺族年金を受給することができる気がしますが、実はそうではありません。次は、配偶者の両者の違いについて比較します。

遺族基礎年金 遺族厚生年金
配偶者 死亡した者に生計を維持されていた以下の者子のある配偶者

 

死亡した者に生計を維持されていた以下の者子のある配偶者
子のない配偶者
配偶者の性別差 妻、夫とも年齢制限なし 妻は年齢制限なし
夫は年齢制限あり(55歳以上の夫)

受給権者の範囲で説明したとおり、遺族基礎年金の場合は子のある配偶者しか受給することができません、つまり配偶者自身は受給することができません。一方、遺族厚生年金では子のない配偶者であっても受給することが可能です、つまり配偶者自身が受給権者となります。

配偶者の男女格差についてみてみると、遺族基礎年金では男女格差はなく、残された配偶者の年齢に関係なく、子がある場合は遺族基礎年金を受給することができます。
しかし遺族厚生年金ではいまだに男女格差が残っており、残された配偶者が妻の場合は年齢制限がありませんが、夫の場合は、妻の死亡の当時の年齢が55歳以上でなければ遺族厚生年金の受給権がありません。夫が54歳の時に妻が亡くなった場合は、夫が55歳になった時に受給権が復活する訳ではなく、あくまでも妻の死亡の当時の年齢で受給権の有無が確定するため、54歳の夫に遺族厚生年金が支給されることはありません。
この年齢による男女差は、一般的に女性の社会進出がそれほど多くなかった(男女で生活力に差があることが一般的だった)頃の名残だとも考えられ、将来的に見直しの対象になるかもしれません。

亡くなった人の要件と納付要件の違い

遺族基礎年金 遺族厚生年金
亡くなった人の要件 ①国民年金に加入している人※
②国民年金に加入していた人で日本国内に住所があり、年齢が60歳以上65歳未満の人※
③老齢基礎年金を受給中の人
④老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人(※ここの受給資格期間は短縮10年以上ではなく原則どおり25年以上です)
①厚生年金に加入している人※
②厚生年金の加入中に初診日のある傷病が原因で初診日から5年以内に死亡した人※
③1級または2級の障害厚生年金を受給している人
④老齢厚生年金を受給している人
⑤老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている人(老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上
納付要件 ※の者は、下記の納付要件を満たす必要があります①死亡日の前日に、死亡日の属する月の前々月までの国民年金の被保険者期間(保険料納付済期間、保険料免除期間)が国民年金加入期間の3分の2以上あること
②死亡日の前日に、死亡日の属する月の前々月まで1年間に保険料未納期間がないこと。

亡くなった人の要件と納付要件では、両者の相違はそれほどではありません。亡くなった人がまだ老齢年金の受給資格期間を満たさない時期(それぞれの年金加入期間中)に亡くなった場合は、保険料の納付要件も求められます。まだ現役世代の若い配偶者が亡くなった場合は、納付要件を満たさなければ遺族年金は支給されません。

この記事を書いた専門家について

西野史朗
西野史朗社会保険労務士・行政書士
大学卒業後、全国紙新聞社での約30年の勤務を経て、2019年に社労士、行政書士事務所を開設。自損交通事故で重傷を負い、懸命のリハビリでようやく社会復帰した経験があるが、復帰できたのは多くの方に支えられたからこそと感謝している。復帰後は、感謝の気持ちを社会貢献でお返ししたいと考えるようになった。特に障害者サポートに力を入れている。

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