「離婚」と「相続」
平成28年の離婚件数は21万6798組で、1000人に1.73人が離婚している状況です(厚生労働省平成28年人口動態統計から)。
「離婚」していた場合、相続が発生したときにはどうなるのでしょうか?
離婚した配偶者(前妻・前夫)は相続人?
民法上、配偶者は常に相続人となります。
ここでいう配偶者とは、相続発生時点における法律上の婚姻関係にある配偶者、です。
どんなに仲睦まじくても、婚姻届を出していない事実婚のパートナーは相続人となることができません。
では、離婚した配偶者は相続人にあたるのでしょうか?
というと、相続発生時点では婚姻関係にないので、相続人とはならないのです。
離婚した前妻(夫)との間の子は相続人?
離婚して、自分の手元から離れた子、親権のない子は相続人になるのでしょうか?
民法上、子は、第一順位の相続人です。親権がなくても、同居してなくても、連絡が途絶えていても、子が相続人であることに変わりはありません。
「前妻(夫)との間に子どもがいた」等ということは、相続の実務ではよくあることです。いわゆる「異母(父)兄弟(姉妹)」です。
お互いにお互いの存在を知らなかったり、複雑な想いから、異母(父)兄弟(姉妹)を交えた遺産分割はまとまらない、ということは「争族問題」の典型的なパターンです。
配偶者(夫・妻)の連れ子は相続人?
配偶者は、離婚歴があろうとも、入籍していれば相続人になります。
しかし、その相手の子ども、いわゆる、「連れ子」はどうなるのでしょうか?
実は、連れ子は、連れ子の親と入籍したからといって自動的に自分の「子」となるわけではありません。相続人ともなりません。
では、自分の子ではないから、相続人とすることは不可能なのでしょうか?
連れ子を相続人とするには、「養子縁組」という手段があります。連れ子と養子縁組し、連れ子を養子とすることによって、相続人とすることができます。
このように、意外と知られていない「離婚」と「相続」の関係があります。
相続人だと思っていたのに相続人でなかった、相続人にはならないと思っていたのに相続人だった、ということで、遺族が余計な苦労を背負うことにもなりかねません。相続対策では、相続人の確認がとても大事なポイントになってきます。
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