遺言でできることと遺言の種類

こんにちは。税理士の鈴木宏昌です。 相続の争いを防ぐためや自分の意思を相続に反映させるためには遺言が有効です。今回は遺言でできることと遺言の種類について解説いたします。

 

遺言でできること

 

遺言でできることですが、まず法律で決められている相続の分割割合を変更することできます。

例えばお父さんが亡くなり、お母さんと子供2人が相続する場合、 法定相続分であればお母さんが2分の1、子供はそれぞれ4分の1を相続 することになります。

しかし法定相続分は強制ではありません。
相続人間の協議で自由に分割を決めることができるのです。

遺言書で仮に「次男には2分の 1を相続させる」とあれば、その割合で分割することができます。 それから、財産を指定することもできます。 「ある土地は長男に相続させる」とあればそのとおりにて指定できます。

遺言書がない場合、土地・預金・株式などの財産をすべて集めた上で、相続人間で協議してだれがどの財産を取得するか決定します。財産を特定できるのが遺言の力の一つです。

遺言ができるのは法定相続人に対する財産の相続割合や特定はだけではありません。
第三者に財産をあげたいときも遺言書は役に立ちます。

たとえば、長男の嫁にはいろいろと世話になったので財産の一部をあげ たいという場合や、孫にも財産をやりたい場合は、遺言でそう書くことにより相続人ではない人にも財産をあげることができるのです。

それはだけではなく、自分が気に入っていた美術館などに寄付することだってできるのです。

このように自分が死んだあとの財産処分に対して、自分の意思を反映させられるのが遺言なのです。

遺言書がなければ、生前、「あの土地は長男 にあげたい」「このマンションは次女にあげたい」と口にしていたとしても、そのとおりになる保証はありません。

遺言がない場合、相続人間での話し合いにより取得する財産を協議するからです。 また、生前はなかなか口にできなかったことを表現することができます。

よくあるのが、外に作った子供の認知です。 生前は奥様や家族の手前、気兼ねがあって簡単には切り出せなかったことも、遺言であれば 可能です。

さらに生前、法定相続人の誰かから虐待を受けていたという内容を書き 込んでおけば、家庭裁判所の審理を経て、虐待の主は法定相続人から廃除されるかもしれません。

他に遺言にできることは、『遺言執行人」の指定です。 遺言執行人というのは、遺言に書かれている内容に沿って手続きをする 人のことです。遺言にしたがって名義の変更などを行います。信託銀行や弁護士が遺言執行人になっていることが多いです。

 

遺言の種類

 

遺言には

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
の3種類があります。

 

自筆証書遺言について

 

自筆証書遺言というのは、自筆というくらいですから、遺言書は本人がすべて自筆で書く必要が あります。

パソコンのワープロソフトを使って書いたものや、タイプラ イターで記したものは無効です。 だから、自筆証書遺言が遺言としてきちんと効果を持つためには、全 文が自筆であることが条件となります。

問題となるのは自分で文字が書けない場合です。手を添えて書いたとき、その内容が誰の意思によるものかがよく分からなくなってしまいます。はたして本人が自分の意思どおりの内 容を書き、手を添えた人は真に力を貸しただけなのかどうか、はっきりと断じることはできません。遺言が密室で書かれることが多いためです。

高齢になってくると、確かに自筆で遺言を書くのはたいへんです。手が 震えることもあります。いくら自筆でも、何が書いてあるかが誰も分からないというのでは困ります。

さらに自筆証書遺言にはいくつか落とし穴があります。

たとえば、印鑑です。

自筆証書遺言が出てきて、法定相続人以外の人が 名指しされていたとします。そして、その人に相続させることは他の法定 相続人たちも認めているとします。しかし、自筆証書遺言書に印鑑の捺印がなかったら、どうすることもできないのです。

それから、字は明瞭であっても、中身が畷昧になっていると、これも困ったことになります。

自筆証書遺言は自分1人で書 いているために、内容も自分本位になりがちです。加えて高齢になってくれば、内容があやふやになることも十分考えられます。

内容があやふやなままだと法的な条件を満たさないので、住所まで書く必要はありませんが、「私の住んでいる土地と家は長男に渡す」などと特定できる書き方が必要です。

このように自筆証書遺言は気をつけないと無効になってしまるリスクがあります。

しかし、メリットもあります。自筆であるため、ありがたみがある、 もしくは想いが伝わりやすいということがあります。公正証書遺言はワープロ打ちの遺言ですから、ずっと尊重しようという気持ちになりやすいのです。

次回は公正証書遺言について解説いたします。

 

この記事の執筆者

鈴木宏昌 鈴木宏昌

税理士。1981年北海道札幌市生まれ。Big4系税理士法人や都市銀行事業承継部などを経て、2013年に東京都北区にて鈴木宏昌税理士事務所開業、現在は赤羽に事務所を構える。IT業やネット輸出入ビジネス、相続・事業承継などが得意分野。「世界4大会計事務所のクオリティを低コストで」をコンセプトに、税理士業界歴14年のキャリアを活かして、お客様の悩みに真摯に向き合っている。
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