新しい財産管理の手法~民事信託の仕組みとは~

こんにちは、司法書士の小野です。
前回の投稿(2/22)で新しい財産管理の方法、「民事信託でできる事」についてお話しました。

民事信託を使えば、生前から財産管理を他人に任せることができます。
遺言のように本人が死亡したときから効力を発するものではなく、民事信託をしたその日から財産管理を信頼すべき人に任せることができるのです。
しかも、この効果は本人が認知症やお亡くなりになった後も継続します。

それでは、具体的にその仕組みを見ていきましょう。
  

民事信託の仕組み

● 民事信託とは、『信託契約」』より、信頼できる家族(受託者)に財産管理を託します。

● 信託契約により、財産を形式的に信頼できる家族に「名義だけ」移します。
(例) 不動産→信託付 の『所有権移転登記』
   預  金→新たに『受託者名義(信頼できる家族)の信託口座』を開設し、そこに資金移動
   自社株式→株主名簿を受託者名義に変更。信頼できる家族(受託者)が株主総会で議決権を行使する。

● 家賃収入や生活費の支給等、信託の利益を受ける人(受益者)は、今まで通り、元の所有者です。

● 「託された人」は、信託契約の目的に従い、財産を自由に管理処分します。この際、もともとの所有者の状況(認知症・相続)に左右されません。

● 信託銀行で取り扱う「遺言信託」や信託銀行が間に入って行う「特定贈与信託」等の商品とは異なり、家族間のみで完結する信託契約です。

 

民事信託の手順

簡単な流れを見てみましょう。

1、現状の把握・リスク確認
現在の状況を確認します。
このままだと何か問題になるのか、将来を考えて、リスクの洗い出しをします。

2、信託する目的を決める
1の内容を踏まえ、何のために信託するのかを決めます。

3、信託する財産を決める
何を信託するのか、決めます。
金銭的に見積もることが可能な積極財産であれば、信託することが可能です。
例:金銭、不動産、有価証券、特許権等の知的財産権等
金銭的価値に見積もることができないもの、マイナス財産、所有者の財産から分離することができないものは、信託できません。
例:借金、人の生命、身体、名誉等の人格権

4、 財産を誰に託すかを決める
財産を託す人(=受託者)を決めます。未成年者や成年被後見人はなれません。
法人(株式会社、合同会社、一般社団法人等)もなれます。
受託者を監督する人が必要であれば、信託監督人をつけることも可能です。

5、受益者(利益を受ける人)を誰にするかを決める
原則的に元の所有者が受益者になります。受益者を別の第3者にしてしまうと、贈与税がかかることがあるので要注意です。
受益者は、契約の当事者ではないため、判断能力のない知的障害の方や認知症の方、未成年でも構いません。
受益者が死んだあとの2次受益者を決める事も可能です。

6、信託契約を締結
上記の内容を踏まえ、信託契約書を作成し、現在の所有者(委託者)と受託者の間で信託契約を締結します。信託契約書は、公証役場で公正証書にしておく事が望ましいです。

7、名義変更手続き
不動産や預金の名義を受託者名義に変更します。

8、受託者による信託財産の管理
信託の目的に従い、受託者による財産管理が開始します。

9、税務申告
受託者は年に1回、一定の時期に「財産状況開示資料」を作成し、これを受益者に報告します。また、信託財産から生じた収益・費用がある場合は、受益者において所得税等の確定申告が必要な場合があります。

 

民事信託の活用事例

では、具体的に民事信託はどのような場面で使えるのでしょうか。
次回は、民事信託を活用した事例をご紹介したいと思います。

司法書士 小野紀子

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