「預金引き出しは慎重に」木村
身近な親族が亡くなると、葬儀費用や入院費用の清算等、早急に支払が生じるものが出てきます。
葬儀費用やお寺に支払うお布施や戒名代はかなり多額な金額になることが多く、支払も葬儀後に速やかにしなければなりません。
相続が発生した相続人中には、子供世帯の手持ちの現金ではまかないきれず、故人の預金から引出して、上記の支払い等を済ませるケースが見受けられます。
金融機関は口座名義人の方が亡くなったと判ると、その口座は凍結され、預貯金を引き出すためには、遺産分割協議書と戸籍謄本等で相続人が誰なのかを判断できる公的書類をもって凍結を解除して引出すことになります。
そこで、急いで支払をしなければならないために、凍結される前に金融機関に黙って預金を引出したり、相続人間でもめる要素がなく均等に分けるので問題ないからと大丈夫だと、遺産分割協議書を作成する前に、法定相続に基づいて凍結解除し、現金を受け取って支払う方々がいらっしゃいます。
ここで”大きな落とし穴”があります。
預金を引出した後に故人の多額の負債や連帯保証債務が見つかり、プラスの財産以上の負債額であったり、相続財産の現預金等では返済しきれない額の債務が発覚した場合です。
上記のような債務が発覚し相続した場合、相続人が故人の債務を抱えてしまい、生活に困窮する可能性があるため、状況によっては相続放棄をしなければなりません。
ただし、預金の全部又は一部を引出してしまうと財産の処分にあたり、資金使途や使い道内容によっては、単純承認で相続したとみなされ、相続放棄ができなくなってしまう虞があります。
急を要する支払などがあっても、被相続人の口座から安易に預貯金を引出したり凍結を解除する前に、相続が発生した場合は、先ずは財産と債務詳細の調査し、相続しても良いかどうかの判断をしなければいけません。
このようなことを回避するために急な支払等のために生命保険で緊急の死後の整理資金を用意するなど、事前準備が必要です。
執筆者
相続サポート協会
不動産コンサルタント 木村太祐
この記事を書いた専門家について
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