認知症になったら相続対策はできない・・・

日本の高齢者の現状と認知症

日本の65歳以上の高齢者人口は、3,639万人と増え続けています。
最近の新聞に、日本人人口が21年比0.5%減の1億2322万3561人で13年連続で減少したとありました。減少幅は過去最大の61万9,140人でした。生産年齢人口(15~64歳)は7,269万2,237人で全体の58.99%でした。少子化もあり減り続ける人口のなかで高齢者は増え続けているのです。

それに伴い増えるのは介護です。
介護が必要となった主な要因を見てみると、「認知症」が1位で17.6%を占めています。(厚生労働省 2019年国民生活基礎調査)その次が、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱、骨折・転倒と続いています。
要介護度は1から5までありますが、ほとんど終日介護しなければならない割合は、要介護2では15.7%ですが、要介護4になると56.7%になります。御家族の負担は大きいです。

認知症になるとお金が引き出せなくなる?

認知症になると、契約など法的なことはできなくなりますしもちろん遺言も作れません。口座を凍結されたり株などの売買など金融取引もできなくなります。
認知症になり介護施設に入所しようとしても「お父さんの口座からお金が出せない!」なんてことはよくあることです。

指定代理人制度を使う

そんなときに使える方法がいくつかあります。
まず元気な時に、民間の介護保険に加入して指定代理請求人を息子さんや娘さんにしておくこと。
相続対策で一時払いの保険に加入する方もたくさんいますが、加入の際にためらわれる方もいます。「このお金預けたら私が認知症など介護になりホームに入る時お金がないわ・・・」
でも要介護2になったら保険金を請求できる保険だったら安心。非課税で受け取れます。
介護費用に使い残ったお金は相続財産になります。
生命保険の相続時の非課税枠も使えて介護にも備えられる、とてもいいと思います。

認知症対応型金銭信託

もうひとつは、認知症対応型金銭信託。
おもに信託銀行で扱っています。預ける金額の下限は200万円以上、500万円以上とか銀行により違いがあります。
あとは預入時の手数料、毎月の管理手数料もかかります。
もちろん認知症に備えて預けるので認知症になってからでは遅いです。管理手数料を何年払うかはわかりません・・・

代理人カードを作る

親の普通預金のキャシュカードがあるいから平気!と思っている方も今後問題です。
銀行が70歳以上の高齢者の一日の振込限度額を引き下げようとしています。これは「オレオレ詐欺」など特殊詐欺防止のためですが、ある日突然銀行に行ったら振込できないということになりかもしれません。
そこで最近では銀行では、「生計を同じくする家族」に「代理人カード」の発行もしています。
「生計を同じくする家族」の定義は銀行により違いがあります。一度お使いの銀行に尋ねてみてもよいかと思います。
ただ認知症になると「代理人カード」も使えなくなります。

ファイナンシャルプランナー 株式会社ライフ・アテンダント 新井明子

この記事を書いた専門家について

新井 明子
新井 明子保険・FP
兵庫県神戸市出身。
大学卒業後、国内、外資系生保勤務を経て2010年生命保険損害保険の乗合代理店、株式会社ライフ・アテンダントを設立。
個人、法人保険のコンサルティングセールスとして多くの相談業務に携わる。
女性のためのマネーセミナーや確定拠出年金セミナーにも定評がある。
2級ファイナンシャルプランナー、DCプランナー(企業年金総合プランナー)、MDRT終身会員。

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