家族全員が相続放棄をした!生命保険金はどうなる??

相続放棄について

現在相続放棄は年々増加しており、令和元年では22万5415件と過去最多を更新しています。家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件の件数も増加しています。

受取らない人と受け取りたいがために争う人が増えていると言えます。

相続放棄は、相続開始から3か月以内に家庭裁判所で手続きをして受理されるとその者は相続人ではなくなります。そうなりますと、被相続人が所有していた財産を一切相続することができなくなります。しかし生命保険金は相続財産ではなく受取人固有の財産ですので、相続放棄をしても受け取ることができます。

 

保険の契約者は会社?

被相続人である夫が事業に失敗して多額の借金がある状況でもし夫に万が一があったら、奥さんやお子さんはどうしたらいいのでしょう?もちろん不測の事態に備えて、生命保険に加入しておくことは当然です。

しかし加入の仕方を間違ってはいけません。契約者を会社にしていませんか?会社が受け取った保険金を相続放棄した遺族が受取ることはできません。

会社で借り入れがあれば、その金額分の保険金を会社で準備をして個人ではご家族が生活に困らないだけの生命保険に加入するのが理想です。保険は経費で落とせるからと言って会社だけで加入していませんか?

 

相続放棄をして受け取った生命保険金の税金は?

死亡保険金には生命保険金の非課税規定があり、(500万円×法定相続人の数)は非課税です。ただし相続放棄した者は相続人ではなくなるため、この非課税規定は使えません。

相続放棄をした場合使えない規定はまだあります。

・退職手当金等に係る非課税金額 ・債務控除 ・相次相続控除の規定は適用されないことになります。

一方、遺産に係る基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)は、相続放棄をしても使えます。また配偶者の相続税額の軽減等の規定も同じく適応できます。

生命保険金が5,000万円で妻、子2人が相続人で全員が相続放棄した場合、5,000万円-(基礎控除3,000万円+600万円×3)で200万円に相続税がかかりますが、配偶者の税額軽減の適応を受けて妻だけが相続すると相続税はゼロです。

*配偶者の税額軽減・・・法定相続分相当額と1億6千万円のいずれか大きい金額まで相続税はかからない

相続放棄をして生命保険金を受け取る際には注意してください。

ファイナンシャルプランナー 株式会社ライフ・アテンダント 新井明子

この記事を書いた専門家について

新井 明子
新井 明子保険・FP
兵庫県神戸市出身。
大学卒業後、国内、外資系生保勤務を経て2010年生命保険損害保険の乗合代理店、株式会社ライフ・アテンダントを設立。
個人、法人保険のコンサルティングセールスとして多くの相談業務に携わる。
女性のためのマネーセミナーや確定拠出年金セミナーにも定評がある。
2級ファイナンシャルプランナー、DCプランナー(企業年金総合プランナー)、MDRT終身会員。

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