「税理士と相続税」小川

国税庁発表のデータによると平成25年に亡くなった方、約127万人のうち約5万4千人(全体の約4.3%)の方について相続税の申告・納税がありました。

今年(平成27年)より相続税の基礎控除額が今までの4割減となり、相続税申告をしなければならない人が確実に増えたため、いったい申告・納税を必要とされる方がどれくらいいるのでしょうか。

 

現実問題として先日も、
「自分の親に相続が起こった場合、相続税がかかってくるのか、かかるのであれば納税資金は大丈夫か」
といった不安に思われている方のご相談を受けました。

その際にもお話させていただいたのですが、まずは財産の見える化をし、相続税試算を行い、財産の分割(負の財産を含む)や納税資金対策を含めた上で、状況に応じて節税対策を考えていく必要があります。相続が起こってからでは対策も限られてきますので、早めにそういったことを相談できる専門家に相談すべきかと思います。

一つ注意すべき点として相談する方を間違えないということです。税の専門家である税理士にも得意不得意分野があります。

 

税理士の多くは、法人・個人のお客様との間で顧問契約を結び、顧問料、申告書作成料等をいただいて事務所運営をしています。ここで主となる税金は、法人税・所得税・消費税といった企業等の期間損益に対する税金で、お客様のニーズは資金繰りや日々の税金を抑えることが中心かと思います。

一方で相続税申告業務は、亡くなった方の亡くなった時点の純財産額に対してかかる税金ですので、毎年所得税の確定申告を税理士にお願いしているからといって相続対策まで万全とは言えません。

(そもそも個人の確定申告は時期が重なるため、その業務に追われている事務所がほとんどであり、依頼をしなければ相続対策まで考えているところは少ないかと・・・)

 

亡くなった後の相続税申告のみを引き受けている事務所もあるため、単純に相続税申告件数=相続対策に強い税理士とはならないかと思いますが、税理士の数は約7万5千人(平成27年5月末現在)に対して、相続の申告件数は約5万4千件(平成25年)と年に1度も相続税申告をしていない税理士はたくさんいます。

相続税申告をしたことがないという税理士に相談されることは論外ですが、相続対策は節税中心に考えるとうまくいかないケースも多々あるため、税務面だけでなく法務面・不動産等も含めてワンストップで相談できる専門家を見つけて早めに相談されることをお勧めします。

 

【執筆者】
相続サポート協会
税理士 小川裕司

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