「名義預金にご注意を!」小川

平成25年の相続税申告実績によると、その財産構成は

  • ■土地・建物46.7%
  • ■有価証券16.5%
  • ■現金・預貯金26.0%

に対し、申告漏れ財産の構成は

  • 土地・建物15.8%
  • ■有価証券11.7%
  • ■現金・預貯金39.2%

と、相続税申告財産の内訳は土地・建物が非常に多いのですが、申告漏れ財産は現金・預貯金が多くなっています。

これは申告漏れの指摘事項としていわゆる「名義預金」が多いということを表しています。相続税の考え方では、預貯金の名義が亡くなった方のものでなくても、その預貯金を形成した方が実質的に亡くなった方であり単に名義だけが家族等名義のものであれば、亡くなった方の相続財産として計上しなければなりません。

 

ここで名義預金かどうかという判断におけるポイントを簡単に解説します。

1つめが預貯金の原資、2つめが預貯金の支配管理者が誰であったかということです。

 

「原資」とは、その預貯金はどうやって生まれたものかということです。
仮に妻が過去に働いたことがなく、無収入であったならば親の相続や贈与以外で自ら財産を持っているということは考えられないため、そのような状況で妻名義の預貯金が多額にあれば、この資金はどうやって作ったのですか?という話になり相続財産の漏れを指摘される恐れがあります。

 

「支配管理者が誰であったか」とは、その預金口座を自由に使えていたのは誰であったかということです。
例えば、祖父が孫のために預金口座を開設し、毎年100万円ずつその口座へ資金を移していた場合、祖父が通帳・印鑑を管理等していたときには「名義預金では?」という話がでてきます。
この100万円の資金移動が贈与となるためには、祖父が無償であげた、孫がもらったというお互いの意思表示が必要になります。そのため孫がその預金口座の存在を知らないということは論外ですが、祖父がその口座資金をいつでも自由に引き出せる状態にあり、孫はもらった資金を自由に使えない状況にあれば、実質的には贈与が成立していないとみられ相続財産の漏れを指摘される恐れがあります。

 

相続税対策という点において、暦年の贈与税非課税枠等を利用することは有効ですが、後々の相続時や税務調査時でトラブルとならないように生前から専門家に相談されることをお勧めします。

 

【執筆者】
相続サポート協会
税理士 小川裕司

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