テレビドラマ「遺産争族」その1 児山
都築理事から「相続争いなんてテレビの中の事だと思ってた」という記事が投稿されていますが、10月よりテレビ朝日で「遺産争族」というドラマが始まりました。話のネタにと思って観ているのですが、視聴率は、第1話から先週の第4話まで14.2%、10.5%、10.5%、10.2%とまずまず健闘しているようです。
ストーリーは、向井理ふんする佐藤育夫が、葬儀会社の大手「カワムラメモリアル」を経営する河村家に婿入りし、河村家の遺産争族に巻き込まれるというもの。
(以下、放映が終わった部分についてですが、観てない方にとってはネタバレです)
河村家の財産の大半は、カワムラメモリアル会長の河村龍太郎が持っているのですが、心臓に疾患があり、ドラマの冒頭で危篤状態にもなっていました(その後回復)。龍太郎の妻は亡くなっており、3人の娘がいます。佐藤育夫は、この長女の娘と結婚し、婿入りするという設定です。
先週までは、龍太郎が亡くなった後の遺産分割を巡り、3姉妹が互いに少しでも自分に有利にしようと争いかけていたところ、何故か龍太郎が育夫を養子にしたいと言い出したので、それを巡って騒ぎになっていくという展開でした。しかも、龍太郎はこっそり弁護士を呼んですべての財産を育夫に譲りたいと話しています。
さて、この場合民法的にはどうなるのでしょうか。
遺言も養子縁組もない状態で、河村龍太郎が亡くなると、妻は既に亡くなっていますので、娘3人が3分の1ずつ相続することになります。育夫はもちろん、榮倉奈々ふんする育夫の妻である楓=長女の娘も相続権はありません。長女が亡くなった時に初めて、楓に相続権が発生するに止まります。
龍太郎が育夫を養子にした場合、龍太郎も他の子どもたちと同等の相続権が発生しますので、3姉妹と育夫で4分の1ずつの相続権を持つことになります。
龍太郎が遺産の全てを育夫に相続させるという遺言を残した場合、遺産は全て育夫が相続することになります。ただし、相続が発生して1年以内であれば、3姉妹は遺留分を育夫に請求できます。遺留分は、育夫が養子になる前ならそれぞれ遺産総額の6分の1、育夫が養子になった後ならそれぞれ8分の1になります。
今後どういう展開になるかはわかりませんが、以上を前提に観てみると、ドラマの面白さも少し変わるかも。
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