相続放棄の注意点
相続放棄を検討する際の三つの注意点
お亡くなりになった方(以下「被相続人」といいます。)に多額の借金や連帯保証債務といったマイナスの財産が存在する場合、相続放棄を検討することがあります。
相続放棄を検討する際の注意点としては、次の三点が挙げられます。
被相続人の財産に手をつけないこと
まず、被相続人の財産に手をつけないことが重要です。
すなわち、相続人が被相続人の財産を処分してしまうと、その相続人は、財産を相続によって引き継ぐことを認めたものとみなされ、相続放棄ができなくなってしまいます。
相続放棄の申述が受理されると撤回できないこと
次に、相続放棄の手続は、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出して行うのですが、家庭裁判所に相続放棄の申述が一旦受理されてしまうと、相続放棄を撤回することはできません(最高裁昭和37年5月29日判決)。
ですので、相続放棄の手続をした後に、被相続人にマイナスの財産を上回るプラスの財産があることが判明したとしても、相続放棄をした人は、その財産を相続によって引き継ぐことはできなくなる点に注意が必要です。
相続放棄によって相続順位が変わる可能性があること
また、相続放棄をすると、相続放棄をした人は、初めから相続人ではならなかったとみなされることになり、その結果、相続順位が変わることがあります。
たとえば、被相続人に配偶者と子がいるケースで、両者共に相続放棄をすると、相続順位が変わって、直系尊属である被相続人の父母が相続人となります。さらに、直系尊属である被相続人の父母も共に相続放棄をすると、さらに相続順位が変わって、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
このように、被相続人にご存命の父母や兄弟姉妹がいるケースにおいて、被相続人の配偶者及び子が相続放棄をすると、相続順位が変わることになって、それらの方々に相続放棄をすることを検討していただく手間が生じる点に留意する必要があるといえます。
弁護士 服部 毅
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