生命保険契約の権利の申告について 新井

相続が発生して申告する際に、死亡保険金の申告については忘れる方は少ないかもしれませんが、
生命保険契約の権利については申告漏れが少なくありません。
保険金を直接受け取らないために忘れがちになるのはいたし方ないかもしれません。
しかし生命保険金や契約の権利を含めないまま相続税を申告して、税務当局から更正処分、重加算税等の
過少申告加算税の処分を受けた例があります。

契約者、被保険者が亡くなることになり死亡保険金は相続税の課税対象になります。
また被保険者でない契約者や保証期間中に年金受取人が死亡した場合のその生命保険の権利や年金受給権も
相続税の対象になります。

過去の判例のなかで、
相続税の申告者が生命保険契約上の権利が相続税の計算の基礎となる財産であることを認識しながら
生命保険契約の一部のみを申告して、税理士に対しては一部の保険契約の書類を提出しないで申告したことにつき、
課税当局が申告者が最初から過少に申告することを意図して申告したとして更正処分、賦課決定処分したことに
対して申告者が国税不服審判所に申し出ました。

結果として賦課決定処分の一部、全部取り消しの結論を示しました。
(平成28年5月13日裁決)

その理由としては
①申告者はこの保険契約締結に関与していない
②相続開始後4ヶ月経過してから保険会社からの手続きを求められるまでは契約者の変更手続きの必要性を認識していなかった
③保険会社からの連絡があるまでは契約の存在を知らなかった
④申告書の作成過程では税理士に対して正確な申告を行う姿勢を示していた
⑤税務当局からの指摘に対しては遅滞なく修正申告を行っていた

こういった事例は他にもありました。(平成28年5月20日裁決)
これらのケースは税務当局の賦課決定処分等の違法が認められましたが、
支払調書が出る保険契約は隠ぺいすることはできません。
平成30年1月からは保険会社に対して支払調書は義務付けられます。
保険金だけではなく保険契約の権利についての申告については漏れのないように
注意しましょう。

保険加入する際に被保険者としては加入できないため
子どもを被保険者として保険契約することはよくあります。
保険契約は加入時には目的はわかっていても時間の経過とともに忘れてしまうこともよくあります。
ご家族で共有することは大事です。
相続はすべてにおいて家族で共有、話し合うことが大切ですね。

ファイナンシャルプランナー
株式会社ライフ・アテンダント 新井明子

この記事を書いた専門家について

新井 明子
新井 明子保険・FP
兵庫県神戸市出身。
大学卒業後、国内、外資系生保勤務を経て2010年生命保険損害保険の乗合代理店、株式会社ライフ・アテンダントを設立。
個人、法人保険のコンサルティングセールスとして多くの相談業務に携わる。
女性のためのマネーセミナーや確定拠出年金セミナーにも定評がある。
2級ファイナンシャルプランナー、DCプランナー(企業年金総合プランナー)、2019年度MDRT成績資格会員。

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