「預貯金の払戻し制度の創設」について

銀行での預金の払戻しが容易に!

民法(相続法)が改正され、2019年から段階的に施行されてからもう2年です。

自筆証書遺言の方式が緩和されたり、法務局で自筆証書遺言を保管制度が創設されたりと、相続対策がとてもしやすくなったと思います。

それでは預金についてはどうでしょう?

一般的には、遺産分割協議が終わり遺産分割協議書を銀行に持っていき払い戻し手続きをするのですが、民法改正により各相続人が遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることができるようになりました。

平成28年の最高裁大法廷決定により①相続された預貯金債権は遺産分割の対象財産に含まれることになり②共同相続人による単独での払戻しできないこととされました。

それが改正により、預貯金の払戻し制度が設けられ、

①預貯金債権の一定割合(金額による上限あり)についても家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払が受けられるようになりました。(相続開始時の預貯金債権の額(口座基準))×1/3×(当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分)=単独で払戻しをすることができる額     ただし、1金融機関から払戻しを受けられるのは150万円までです。

②預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件が緩和されました。            借払いの必要性があると認められる場合には、他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになりました。(家事事件手続法の改正)

どうです?葬儀費用の支払などに預貯金が使いやすくなりましたね。              しかしながら窓口に行ってもすぐに支払われるわけではなく、金融機関のホームページを検索しても、仮払い手続きに関する説明はほとんど見当たりません。

まだ簡単な制度ではなさそうです。

保険金クイックサービスについて

預貯金債権には、相続人の名前が付いていませんが、生命保険金には受取人が指定してあります。      そして最近では、保険金の請求をしたその日にお支払いするサービスを行っている保険会社もあります。

金額は1,000万円限度の会社や1,500万円まで支払う会社もあります。午前11時までに書類をFAXした場合当日支払となりますが、11時を過ぎても翌日には着金します。(保険会社により時間は違います)

最近は保険契約のお手続きもペーパレスが増えていますが、保険会社によっては保険金のお手続きにもペーパレスを導入している会社もあります。

なによりも受け取る人が明確になっているので、請求しても揉めることは少ないです。預貯金を保険商品に変えておくだけで、現金の引き出しが簡単になります。保険商品には一時払商品やお身体の告知が不要な商品も多くあります。ただしご本人の意思確認や契約者のご年齢によってはご親族の同席も必要ですのでご注意下さい。

ファイナンシャルプランナー 株式会社ライフ・アテンダント 新井明子

 

 

 

 

 

 

この記事を書いた専門家について

新井 明子
新井 明子保険・FP
兵庫県神戸市出身。
大学卒業後、国内、外資系生保勤務を経て2010年生命保険損害保険の乗合代理店、株式会社ライフ・アテンダントを設立。
個人、法人保険のコンサルティングセールスとして多くの相談業務に携わる。
女性のためのマネーセミナーや確定拠出年金セミナーにも定評がある。
2級ファイナンシャルプランナー、DCプランナー(企業年金総合プランナー)、MDRT終身会員。

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